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児童遊戯

1章 「琴、転ぶ」
「琴美ちゃ〜ん、あそびましょお〜」

今日は水曜日。
私たち、一年生は半日しかがっこうがない。
お家に帰って、ランドセルを置く。
手を洗って、居間においてあるおやつを食べる。
それから、また、お出かけ。
近所の琴美ちゃんちに遊びに行くんだ〜。
そそ、私は、片桐瑞(かたぎりみず)、桜第一小学校一年二組。
琴美ちゃん、木野琴美ちゃんとおなじクラスなんだ〜。

歩いて10分の琴美ちゃんち。ピンポンおしちゃお。
「琴美ちゃん、あそびましょお〜」
今日はなにをしてあそぼうかな。
公園で砂遊びかなあ。
ブランコもいいなあ。

トントントン歩く音。
「おお、瑞、よく参ったな、待っておった」
短い髪を両方で留めた琴ちゃん、かわいい。
「うん、きたよ〜。ねえ〜琴ちゃん何してあぞぶ?」
ぽお〜っと立ったまま、琴ちゃん考えてる。
「そうだな、瑞は何がしたい?」
琴ちゃんしつもんにしつもんなの〜?
でも、その意思の脆弱さがかわいい。
「じゃあ、お天気もいいし、公園いこっ」
ここは、私がしっかりとしなきゃ、琴ちゃんの面倒みなきゃ。
「うむ。いこう。しばし待たれよ、母に伝えてくる 」
 
一緒に公園に。ブランコは男の子達が使ってる。
砂場かなあ、じゃあ。
「琴ちゃん、お砂遊びしようね」
右手はプラスチックのバケツと、スコップ。
左手で琴ちゃんの手を引く。
「うむ、そうしよう」
砂をすくい、お山にする。高く、高く、つむ。
琴ちゃんがバケツで砂を運ぶ。
「あ」

”ステンッ””ドサン”
琴ちゃんが転んで、砂がこぼれる。
「ああ、こぼれた・・・」
両手を地面につけたままの琴ちゃん、ぼーっとしてる。
もう、琴ちゃんは〜。でもそんなちょっと鈍いとこがかわいい。
「あ、琴ちゃん、だいじょうぶ〜?」
起こしてあげなきゃ、と。
「こと。立つんだ、己の力で、立つんだ」
後ろのほうから声。
この小生意気な言い方は・・・

木田公一、通称”はむいち”
同じ学校に通う1つ学年上。
薄い茶色の髪、灰色の瞳。
父親がアメリカ人だかのハーフだ。
こいつがなにかと私の琴ちゃんにちょっかいだしてくるんだ。
ほんとうっとおしいやつね。
「立つんだ、いつも助けがあるとは限らないんだ」
魔法戦隊マジレンジャーのプリントシャツの胸をそらし、琴ちゃんに命令してる。
「なによ、あんた、助けてあげるのが普通でしょ!大丈夫琴ちゃん」
そうよ、この外見しかとりえのないちょっと抜けた琴ちゃんを私が助けるのよ!
私が導いてあげるのよ!
「あ、はむいち、ああ、承知した、私は立つ」
心なしか弾んだ声。
なによ、なによ、なによお!

立った琴ちゃん、膝小僧や、服に砂がついている。
「こと、砂場で遊ぶのは感心しない。ここは、この近所を徘徊する猫たちのトイレと化している可能性があるからな」
さらりとした、髪をなびかせ居丈高に言い放つ。
なによ、砂遊びが悪いって言うの?!
私が決めたのよ?
自分の意思を持たない琴ちゃんに遊び方を教えてやってたのよ!
「すまぬ、はむいち。しかし、鉄棒は私は背が届かぬ、ブランコは童達がつかっておる」
まあ、なんであやまるの琴ちゃん。
決めた私が悪いみたいじゃないの!
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